OKIとリクルートの「ラダリング型検索サービス」、経済産業省の「情報大航海プロジェクト」に平成20年度も引き続き採択
沖電気工業株式会社(代表取締役社長兼CEO:篠塚 勝正、本社:東京都港区、以下OKI)と株式会社リクルート(代表取締役社長 兼 CEO:柏木 斉、本社:東京都千代田区、以下リクルート)が共同開発している、コンピュータとの対話によってユーザの希望を引き出して検索する「ラダリング(注1)型検索サービス」が、経済産業省の平成20年度「情報大航海プロジェクト(モデルサービスの開発と実証)(注2)」に、昨年度に引き続き採択されました。両社は、これまで開発した基本部分をベースとしてさらに改良を重ねることで、実用レベルへと発展させた対話エンジンを開発し、転職者向け職業紹介ドメインにおける実証実験を行います。
「ラダリング検索サービス」取り組みの背景と昨年度の実施内容
昨今インターネットでのキーワードによる検索が一般化してきていますが、自分が真に必要とするサービスやコンテンツを正確に見つけ出すのは非常に困難です。ウェブでは多種多様化しているサービスやコンテンツを様々な言葉や形式で表現しているため、従来のキーワード型の検索サービスだけでは、自分のニーズに合ったものを見つけられないことが往々にしておこります。
一方、百貨店などのリアルの世界では、商品やサービスに関する深く幅広い知識を持ったコンシェルジュが、ユーザの多様なニーズを拾い上げ、きめ細かに相談に応じるサービスが始まっています。ユーザは、自分自身でニーズをうまく明らかにすることができない場合でも、コンシェルジュに相談する形で自分の求める商品やサービスを探し当てることができます。今後、消費の高度化に伴って、このようなサービスが求められる傾向は強まるでしょう。しかしながら、これは人間を介するものであり、多大な労力が必要とされ、増大するニーズに対して、高度な技術を必要とするコンシェルジュだけで対応することは困難が予想されます。
OKIとリクルートは、コンピュータがユーザに質問を投げかけ、ユーザが単独では表現できなかった希望やニーズを引き出し、多種多様でかつ大量のサービスやコンテンツの中からそれとマッチするものを探し出す「ラダリング型検索サービス」を考案しました。昨年度「情報大航海プロジェクト」のモデルサービスの一つとして採択され、ラダリング対話エンジンを中心としたシステムを技術開発し、約800人のユーザを対象に転職者向け職業紹介ドメインにおける実証実験を行いました。その結果、平均33対話(システム発話とユーザの回答のセットで1対話)がなされ、平均32属性の情報をユーザから取得することができました。同時に実施したアンケート調査では、24%のユーザが対話によって気づきが得られたと回答し、コンピュータとの対話によってユーザ自身では気づかなかったニーズを引き出せることが実証できました。また、現時点で54%、2年後では75%のユーザが同サービスを使いたいという高い期待があることもわかりました。
本年度の展開について
本年度は、昨年度の実証実験の課題や収集した対話ログをもとに、本格的なオントロジー体系(注3)を用いた対話機能、ユーザの感情や満足度/信頼度の解析などを活用した高度な対話戦略機能、ドメイン知識を効率よく構築できるツールなどの開発を行い、実際に求人情報を掲載しているサイトに本サービスを配置する実証実験を予定しています。
「ラダリング型検索サービス」は、求職サイト、各種ショッピングサイト、金融商品、旅行プラン、行政、医療・ヘルスケア、放送・映画などといった、ユーザとサービス/コンテンツ提供者の間に知識やニーズのギャップが存在する産業領域において幅広く適用することができます。OKIは、インターネットのコンテンツ・サービスサイトに「ラダリング型検索サービス」を配備し、ユーザが自ら表現できないニーズをラダリングという対話手法により引き出し、真に欲するサービスやコンテンツとマッチングさせるサービスを提供する事業を行う予定です。また、サービス/コンテンツ提供者に対して単に本検索サービスを提供するだけでなく、システム構築、コンサルティング等のさまざまな形態で事業をグローバルに展開することも視野に入れています。
なお、OKIは、昨年度の開発及び実証実験の成果について、7月18日、公立はこだて未来大学にて開催された「情報処理学会 自然言語処理研究会」(「電子情報通信学会 言語理解とコミュニケーション研究会」共催)にて詳細を発表致しました(注4)。
用語解説
注1:ラダリング
相手との対話の中で、徐々に掘り下げた質問を繰り返すことにより、相手のニーズや価値観を引き出す手法のこと。
注2:情報大航海プロジェクト
経済産業省が平成19年度から3か年で実施する次世代の情報検索・解析技術を開発する国家プロジェクト。次世代の情報検索・解析技術を利用したモデルサービスを開発・実証し、将来にわたる情報利用の拡大とサービスの創出を可能にする共通基盤の構築を目的としている。本プロジェクトを通して、日本におけるデジタル融合を誘発するとともに、デジタル融合に向けた基盤整備に取り組むことで、グローバル市場における新規産業の創出を目指している。
注3:オントロジー
オントロジーとは、言葉が表す概念や概念間の関係を表現したネットワーク構造。
注4:発表論文
[1]北村美穂子他、'ラダリング型検索サービスのための対話エンジンの設計・開発'、情報処理学会研究報告、2008-NL-185,2008.
[2]下畑さより他、'ラダリング型検索サービスのためのドメイン知識構築、及び、実証実験'、情報処理学会研究報告、2008-NL-185,2008.
※ 沖電気工業株式会社は、グローバルに認知される成長企業を目指し、通称をOKIとします。
※ 記載されている会社名、商品名は一般に各社の商標または登録商標です。
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