中国・ASEAN・インド労働レポート 2014年4月~6月分
株式会社リクルートホールディングス(本社:東京都千代田区 代表取締役社長 兼 CEO:峰岸真澄)の100%子会社である RGF Hong Kong Limited(本社:香港 President:葛原孝司 URL: http://www.rgf-hragent.asia/ )は、日系企業のアジアにおける採用活動状況を明らかにするため、求人・求職者動向をまとめましたので、ご報告いたします。
中国
転職市場の繁忙期が一服。経験者・高給与層の転職意欲が高まりつつある傾向。
コンサルタント
中下 真(なかした まこと)
- トータルの求人数は、前年同時期比を上回る見通し。好調に推移した4月に対し5月は昨対比1%減とやや低調気味だったが、6月になってまた盛り返した。
- 業界別では、引き続き業績好調な自動車関連メーカーの採用意欲が高水準で推移。販売会社が集積する上海を中心に、営業人材やバックオフィス人材の採用も活発化している。
- 求職者においては、日系企業各社の中国人採用にトピックスが見られた。営業やエンジニア・生産管理といった職種における経験者採用が人気。また、呼応してか、月収10,000~19,999元と比較的高給与層の求職者の転職意欲が盛り上がりを見せている。
○転職事例:製造課長(現地人)/自動車部品業/37歳/約110,000元(年収)
シンガポール
周辺国への展開の責任者や高い技術力/専門性を持ったIT人材が人気。
コンサルタント
岡部 雅仁(おかべ まさひと)
- 春節後のピークシーズンを過ぎ、求人数は全体的に落ち着き傾向。
- 引き続きIT人材は人気だが、R&D機能としてのデータサイエンティストや個人情報程法施行に伴うセキュリティエンジニア等、より高い技術力・専門性が求められる傾向が強まっている。
- また、アジアにおける本社機能化が進むなかで、アジア周辺国への事業展開の責任者として、駐在員ではなく日本人の現地採用者を据えるケースが増加中。先日もサービス業企業でベトナムオフィス立ち上げ責任者として1名内定した。
- ローカル人材採用では、語学堪能人材は常に人気が高い。(シンガポールは比較的日本語が堪能なローカル人材が少ない)
○転職事例:営業マネージャー(現地人)/IT業/35歳/約96,000 SGD(年収)
ベトナム
IT企業のオフショア開発事業が拡大中。日系電鉄会社による大都市開発も現地雇用を創出。
コンサルタント
河本 かなめ(かわもと かなめ)
- 日系電鉄会社が進めるビンズン省の大都市開発に伴い、建築・不動産・商業施設運営等のローカル人材募集が増加傾向。
- IT企業のオフショア開発事業が引き続き拡大を続けており、ITエンジニアの大量かつ緊急の募集も目立つ。また、事業拡大に伴い複数領域のスキルを横断で持っていたり事業・組織運営ができる日本人材へのニーズが高まっている。
- 日本人求職者側でもIT業界出身者からの問合せが増加しており、業界内での注目の高さがうかがえる。
- エリアで見ると、ハノイ・ホーチミン人気は堅調なものの、人件費高騰を受けて中部エリアであるダナンに進出する日系企業も増えている。
○転職事例:プロダクトマネージャー(日本人)/IT業/30歳~/約481,000百VND~(年収)
香港
一部の日本企業で、管理機能の強化・現地化を進める動き。
コンサルタント
高比良 直人(たかひら なおと)
- 春節明けのピークは一段落しているが、昨年の同時期と比較すると求人数は増加傾向。
- 引き続き、香港や中国大陸の消費者を狙ったBtoC企業の営業職やマーケティング職の求人が増えている。
- また、一部の日系企業で、管理機能の強化・現地化を進める動きが出てきており、経理・財務や法務などの求人が徐々に増えてきている。
- 一方、金融業界においては、人員を大幅に削減する企業もあり、前年よりも若干減少傾向にある。
- 多くの日系企業では、7月に賞与の支払いを行うため、6~7月は日本語人材の動きは落ち着く見込み。
○転職事例:経理マネージャー(日本人)/機械商社/32歳/約260,000HKD(年収)
インドネシア
販売体制構築に動き出した日系企業。ローカル×営業・マーケティングに熱視線!
コンサルタント
土肥 幸之助(どい こうのすけ)
- これまでインドネシア内で独自の販路を有していなかった企業が、販売体制の強化に動き出している。子会社設立から既存拠点の体制拡充まで形態はさまざまだが、上記に伴う営業職・マーケティング職のローカル人材採用が活発化している。
- また、最近ではジャカルタに加えスラバヤ方面に進出する企業が出始め、求人もそれに呼応して徐々に増加傾向。
- 日本人求職者は、2~30代ならびに50代以降の方が多い。若手の方は、日本でのみの就業経験に不安を感じて海外へ転職される方が多い。先日も、国内で商社に勤めていた26歳の男性が海外+消費者向けの仕事を求め転職を決意され、日本食スーパーの店長候補として採用された。
○転職事例:マーケティング(現地人)/日系飲食品メーカー/20代後半/約143,000千IDR(年収)
インド
進出日系企業数増に伴いサービス業の展開が加速。生産拠点を設立する企業も増加。
コンサルタント
新谷雄司(しんや ゆうじ)
- 最近の進出日系企業数増に伴い、サービス業(医療サービス、不動産等)の進出数が増えつつあり、求人も増加傾向。(依然として中心はメーカー・商社)
- 製造業では通訳へのニーズが増加傾向。今まで販売拠点としての進出が中心だったのに対し、徐々に生産拠点設立が増えてきているため、日本からの生産管理人材の渡印が増えていることが背景。
- 日本人求職者の多くを占めているのは、引き続き女性。インドに強い興味を持っている方も多く、転職には一定の英語力と経験を求められることが多いインド市場だが、基本的に売り手市場傾向ということもあり、強い意欲やポテンシャルを評価されて採用に至るケースも多い。
○転職事例:営業(日本人)/日本人向け医療サービス/27~33歳/約1,200,000ルピー(年収)
タイ
ビザ発給要件の緩和を受けて、日本への旅行サポート要員の募集が増加。
コンサルタント
橘 宏喜(たちばな ひろき)
- タイでは日系企業進出数の約半数を製造業が占めており、結果として日本人の製造業出身者は非常に重宝される傾向がある。
- 製造業以外でも商社・貿易・サービス業など幅広い業界が進出しているが、特に最近は旅行業界が活況。昨年のビザ発給要件の緩和・円高是正に伴ってタイからの日本への旅行者は増加しており、タイ人の旅行サポート要員として求人ニーズが拡大中だ。
- また、経理・人事・ITの3職種は恒常的に募集が多く、求職者の売り手市場となっている。30歳以下の転職希望者も多く、若手の転職市場の動きは活発化している。
○転職事例:トレーディングスタッフ(現地人)/輸送用機器商社/28歳/約364,000バーツ(年収)
参考:各国通貨レート
1現地通貨あたりの日本円※
中国元:16.30円
SGD:81.17円
VND:0.005円
HKD:13.08円
IDR:0.01円
ルピー:1.69円
バーツ:3.12円
※2014年6月27日現在
RGF HR Agentについて
リクルートグループが展開する、アジアを中心とした人材紹介事業です。
日系企業のアジア進出を人材採用面からサポートするべく、2006年に中国へ進出し、2009年にRGF(リクルート・グローバル・ファミリー)ブランドを立ち上げました。現在では11の国と地域、28の都市へ展開し、日系企業のみならず外資系・現地企業へのサービス提供を強化しています。今後、世界規模での人材流動化がより一層進んでいくなかで、私たちは企業と個人のより良いマッチングを実現し、グローバルNo.1のHRソリューション企業となることを目指します。
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