リクルートワークス研究所が「人手不足の影響と対策に関する調査」を実施 人員確保できない企業の50%以上が事業に影響あり 採用難の悪循環を断ち切るため、主婦・シニアを活用している企業は15%にとどまる
株式会社リクルートホールディングス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 兼 CEO:峰岸真澄)の、人と組織に関する研究機関・リクルートワークス研究所は「人手不足の影響と対策に関する調査」を行い、「人手不足の実態に関するレポート」をまとめました。2014年5月の有効求人倍率は1.09倍でリーマンショック直前のピークを越えました。厚生労働省「職業安定業務統計」によると求人倍率が1倍を超えたのは過去50年で高度成長期、バブル経済期、リーマンショック直前の好況期などの期間だけです。今回の調査はリクルートワークス研究所にとって、労働環境が逼迫している現在の状態を把握するために行った初めてのものになります。
レポート全文につきましては、以下リクルートワークス研究所のサイトよりダウンロードいただけます。
URL:http://www.works-i.com/pdf/140724_hit.pdf
調査の結果
採用実施企業のうち3社に1社は人数を確保できていない
正社員、パート・アルバイトの採用人数を確保できなかった企業は全体の3分の1にのぼる。そのうち50%以上は事業に影響が出ている。
2014年4月~6月の採用における人数の確保
正社員やアルバイト・パートの採用において、人数を確保できないことによる事業への影響
主婦・シニアの活用は進んでいない
人数を確保できないことにより既に実施した対応は「未経験者も採用対象とした」「アルバイト・パートの募集時の時給を引き上げた」の順となっている。採用対象に関する項目では、女性・高齢者を積極的に採用対象とした企業は約15%にとどまった。
人数を確保できないことによる対応(既に実施した施策、複数回答)N=300
52.7%の企業で人材確保解消の見通しがない
人数を確保できない状況の見通しについて調査したところ、解消する「見通しがある」と回答したのは47.3%であり、52.7%の企業は「見通しがない」と回答している。
人数を確保できない状況が今後解消する見通し N=300
注)2014年4月~6月における正社員の中途採用あるいはアルバイト・パートの採用に対して人数を確保できなかった企業に限定して集計した結果
飲食サービス業などで採用難の悪循環に陥っている可能性がある
人手不足に関連して、全体的に「募集金額の上昇」や「正社員の長時間勤務」が起きている。また、飲食サービス業では「募集金額の上昇」、建設業・飲食サービス業では「応募者の不足」、飲食サービス業・小売業では「アルバイト・パートの離職率の上昇」が起きている。また、金融業では、「派遣会社に依頼しても人材が決まりにくくなった」という状況も出ている。
人材不足に関連して自社の状況にあてはまるもの(複数回答)N=1,000
注)表中のうち、下線の数値は全体よりも10ポイント以上高い 斜体の数値は全体よりも10ポイント以上低い
戸田淳仁研究員による考察
人手不足に陥っている企業の中で半数以上が人手不足の解消見通しを持っていないことからも、今後ますます人手不足の影響が続くと思われる。その中で、人手不足により事業に深刻な影響が出ている企業は多いとはいえないが、飲食サービス業や小売業においては採用難による悪循環に陥っている可能性がある。つまり、アルバイト・パートの離職率が高まることにより既存社員の業務負担が高まり、業界の評判が悪くなることで採用が難しくなるため、既存社員の業務負担がさらに増えるといった悪循環である。
一部の企業では主婦や高齢者の活用が進んでいるが、まだ道半ばであり、既存社員の定着促進を含めて人材活用方法の見直しを今のうちから進めていく必要があるといえる。
【参考】調査概要
調査目的:2014年4月以降の採用動向と、人数の確保、人手不足の状況について明らかにすること
調査対象:従業員規模30人以上の全国の民間企業勤務者で、採用業務に直接的あるいは間接的に関わっている者。インターネットのモニターサンプルを活用し、「経済センサス―基礎調査」(総務省統計局平成24年版)の業種構成や回収状況をもとに割り付けを実施
調査項目:2014年4月〜6月の採用動向、採用理由、人数確保の状況、人手不足に関する状況
調査期間:2014年6月20日~6月24日 回収人数:1,000名 回収方法:インターネットリサーチにて回収
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