中国・ASEAN・インド労働レポート 2014年7月~9月分
株式会社リクルートホールディングス(本社:東京都千代田区 代表取締役社長 兼 CEO:峰岸真澄)の100%子会社である RGF Hong Kong Limited(本社:香港 President:葛原孝司 URL: http://www.rgf-hragent.asia/)は、日系企業のアジアにおける採用活動状況を明らかにするため、求人・求職者動向をまとめましたので、ご報告いたします。
中国
例年求職者の動きが落ち着く時期。好調だった華南地区の求人需要にはやや陰りが。
コンサルタント
中下 真(なかした まこと)
- トータルの求人数は、前年同時期比とほぼ同水準で落ち着く見通し。例年、8・9月は日本本社の夏季休暇の影響などからあまり求人が動かない傾向にある。
- 地域別でみると、自動車産業の好調を背景に、求人増を維持していた華南地域の求人需要が8月に一服。ダウントレンド入りかと思われたが、9月には盛り返しがみられた。
- 国慶節前のこの時期は、求職者側の動きも比較的落ちつく傾向。なかでも、中国での就業を希望する日本人求職者の動きはゆるやか。日中関係の冷え込み、大気汚染など生活環境悪化に対する懸念、東南アジア志向の高まりなどで、中国転職を希望する日本人求職者の数はやや伸び悩んでいる。
○転職事例:営業(現地人)/化学業/27歳/約76,050元(年収)
シンガポール
非日系をターゲットとする日系金融業と、日系をターゲットとする外資企業の採用意欲が拡大。
コンサルタント
岡部 雅仁(おかべ まさひと)
- 全体の求人数は増加傾向。
- 非日系市場への拡大を進める金融業(メガバンク等)では専門職を中心に採用活動が活発。
- また、最近では日本人観光客や日系進出企業をターゲットにした外資企業が、日本人を採用する動きも増えている。CMで有名な某ホテルにおいても、アドミニのマネージャー職で日本人が内定した。
- 求職者側では、シンガポールへの転職意向を持つ方は増加傾向なものの、ビザの発給要件厳格化による就職の難易度は引き続き上昇中。8月には政府管轄による現地人向けの無料求人サイトが開始したりと、現地人の雇用優遇は着々と進行している。
- ローカル人材採用では、語学堪能人材は常に人気が高い。(シンガポールは比較的日本語が堪能なローカル人材が少ない)
○転職事例:投資銀行アソシエイト職(現地人)/金融業/31歳/約60,000 SGD(年収)
ベトナム
BPO企業増加に伴う日本語求人が増加中。ハノイでは工場におけるワーカークラス人材が争奪戦。
コンサルタント
河本 かなめ(かわもと かなめ)
- 求人数はほぼ横ばい。
- ホーチミンでは、BPO関連企業(データ入力・コールセンター・CAD・テスティング業務など)の進出・拡大が増加しており、それに伴う日本語コミュニケーター求人が今後増加する見通し。
- ハノイでは、車で約3時間のところにあるハイフォン工業団地における採用活動が活発化。日系メーカーが相次いで大型工場を建設しており、日本語人材・バックオフィス人材が恒常的に人気。外資企業も交えたワーカークラスの人材争奪戦が激化している。
- 日本人の営業職採用も増加している。日系企業のみならず、欧米系を中心とした非日系企業がベトナム国内の日系マーケットに注目しており、新規立ち上げ案件なども増えている。
○転職事例:非日系企業の営業(日本人)/保険業/30~40歳/約1,098百~1,372百VND~(年収)
香港
工場を中国大陸に置き、貿易機能を香港に置く日系製造業の増加による日本語求人が拡大。
コンサルタント
高比良 直人(たかひら なおと)
- 製造業を中心に求人は増加傾向。香港の日系製造業の特徴として、中国大陸の華南エリアに工場を置き、貿易機能を香港に置いているケースが多く、そのような企業から工場とのカウンターパートとなる日本語力が高い貿易事務や秘書の求人が増加している。
- 金融・サービス業などの非製造業においても引き続き堅調に推移。日系企業を顧客とする部門における日本語スピーカーや日本人営業職などの求人が、特に活発に動いている。
- 求職者動向としては、例年、7月の賞与支払いを機に活発に動き出す求職者が多い。8月からはその動きも鈍化し、年末にかけて緩やかに落ち着いていく傾向にある。
○転職事例:貿易事務(現地人)/物流/40歳/約300,000HKD(年収)
インドネシア
内需拡大を見越した日系企業の現地富裕層向けサービスが拡大!採用はより売り手市場に。
コンサルタント
土肥 幸之助(どい こうのすけ)
- 人口増を見越した内需取り込みの動きが引き続き活発で、食品・飲食サービス・小売に加え、現地富裕層向けのブライダルサービスの展開を行う日系企業も出現。BtoBでローカル企業への拡販を狙う企業も増加している。
- その中で、日本人現地採用に関しては常に一定数の企業が採用を検討しており、職種問わず売り手市場の状態といえる。人材獲得には、必須要件の明確化と相場に合わせた待遇の提示が鍵となる。
- 現地人の求職者動向としては、レバラン休暇を終えた8月後半から顕著に活発化。従来同様、20~30代の求職者が積極的に活動している一方、マネジメント層も機会があればと情報収集に積極的。
○転職事例:マーケティング(現地人)/医療情報サービス/40代前半/約325百万IDR(年収)
インド
幹部候補者としての現地採用ニーズが増加。製造業ではシニアへ熱視線!
コンサルタント
新谷雄司(しんや ゆうじ)
- 日系企業から「駐在員から現地採用に切り替え、中・長期的な現地幹部候補者として活躍してほしい」とのニーズが増加。結果、中堅クラスへの注目が高まっている。
- また最近では、製造業において工場マネジメントに苦戦しているケースが目立つ。現地法人トップの工場経験の無さが原因と言われており、そのためリタイア後も含めたベテランシニアを現地採用として求める声が増加。シニア世代は自身の経験を後進に伝えることに熱意を持っている方も多く、今後の機会創出に期待が持てる。
- 求職者側では、引き続き20~30代前半の女性比率が極めて高い。英語圏への留学・就業経験を経て、就職難易度の観点からインドを選ぶ方も多い。
○転職事例:顧問(日本人)/大手自動車部品メーカー/60代前半/約3,000,000ルピー(年収)
タイ
増加する在タイ日本人向けのサービス業において求人が拡大。日本からは40代転職希望者も。
コンサルタント
橘 宏喜(たちばな ひろき)
- 最近では日本人の採用案件が増加傾向。新規進出企業を取り込むための新規開拓営業などが商社・メーカーを中心に引き続き増加傾向であることに加え、増える在タイ日本人向けの日本人のオペレーター、カスタマーサービス職の募集が増加。また、アフターサービス、マーケティング等の職種も徐々に拡大をしている。
- 求職者側では、40代以上の日本人転職者の動きが活発化。日本と比べて40歳以上を対象とした求人が多いため、タイ在住者だけでなく、日本からの40歳以上の転職希望者が増加している。
○転職事例:倉庫管理(日本人)/物流/41歳/約1,300,000バーツ(年収)
参考:各国通貨レート
1現地通貨あたりの日本円※
中国元:17.81円
SGD:85.73円
VND:0.005円
HKD:14.07円
IDR:0.01円
ルピー:1.78円
バーツ:3.38円
※2014年9月26日現在
RGF HR Agentについて
リクルートグループが展開する、アジアを中心とした人材紹介事業です。
日系企業のアジア進出を人材採用面からサポートするべく、2006年に中国へ進出し、2009年にRGF(リクルート・グローバル・ファミリー)ブランドを立ち上げました。現在では11の国と地域、28の都市へ展開し、日系企業のみならず外資系・現地企業へのサービス提供を強化しています。今後、世界規模での人材流動化がより一層進んでいく中で、私たちは企業と個人のより良いマッチングを実現し、アジアNo.1のHRソリューション企業となることを目指します。
海外での採用・転職のご相談はこちらから
- 本件の詳細はこちらよりご覧ください