中国・ASEAN・インド労働レポート 2014年10月~12月分
株式会社リクルートホールディングス(本社:東京都千代田区 代表取締役社長 兼 CEO:峰岸真澄)の100%子会社である RGF Hong Kong Limited(本社:香港 President:葛原孝司 URL: http://www.rgf-hragent.asia/ )は、日系企業のアジアにおける採用活動状況を明らかにするため、求人・求職者動向をまとめましたので、ご報告いたします。
中国
相対的に就業ビザ取得難易度は低下。求職者の心理的ハードル解消にはもう一歩か。
コンサルタント
中下 真(なかした まこと)
- 10~12月は微増で推移しており、当初の想定よりも市場に活発さが残る。来年の春節休暇が2月後半にずれ込んだことが影響している可能性がある。
- 地域別では、中国製のスマートフォンの好調を背景に、特に華南地域を中心に地場系企業を開拓するための営業人材の需要が高まっている。対象顧客が地場系企業のため、日本語が採用要件にされないケースが目立つ。
- ベトナムやインドネシアの就業ビザ発給が厳格化し、香港・シンガポールの就業ビザ発給が引き続き難しい中で、相対的に中国での就業ビザ取得は楽になっている。しかし、両国関係に対する不安から日本人の中国転職志向はまだ冷え込み気味。APECを経て両国関係には雪解けの兆しも見えてきており、来年の動きには期待が持てる。
○転職事例:営業(現地人・日本語不可)/産業機械/27歳/約182,000元(年収)
シンガポール
スマートフォン向けアプリ開発会社が続々進出で営業スタッフ募集も。
コンサルタント
岡部 雅仁(おかべ まさひと)
- 年度末を迎え、企業の採用意欲は鈍化傾向なものの、製薬業界や金融業界や大手商社等、中長期的なアジア市場拡大を見込む大手日系企業のアジア地域統括機能の強化の動きは活発化。人事部長や法務専門職等、管理系の高度専門職ならびに高度専門職のアシスタントポジションの求人が徐々に増加している。
- また、スマートフォン向けアプリの開発会社が続々新規進出・拡大しており、タクシー予約アプリ、飲食店予約アプリ等々を運営する会社の営業スタッフご紹介案件も発生。
- 求職者側では、年末の13ヶ月ボーナスを待つ姿勢から動きは鈍化。一方、日本人のシンガポールへの転職意向は増加傾向なものの、ビジネスレベルの英語力の有無が転職選択肢を大きく左右している。
○転職事例:法務アシスタント(日本人)/大手商社/35歳/約60,000 SGD(年収)
ベトナム
大手ショッピングモール等、日系小売業の相次ぐ開店により求人増。日本語×IT人材人気は引き続き。
コンサルタント
辻 貴秀 (つじ たかひで)
- ホーチミン周辺エリアで、日系大手ショッピングモールの2号店開店、また百貨店も開店準備など小売業の進出増加で、日本人・日本語人材の営業職が人気。日系企業向け営業目的で多国籍企業からのニーズも高い。
- 現地企業では、ホーチミン第1号の地下鉄工事開始等の大型投資関連求人が発生。一方、人口構造の問題からリーダー・マネジメント層の薄さを懸念し、中途採用にて人材を補う動きが継続。
- IT企業の新規進出も、一時期よりは落ち着きをみせているものの引き続き活況。オフショア拠点の立ち上げにむけ、一度に20名の日本人採用枠が発生することもある。日本語が話せるIT人材は人気だが不足しており、月収が1000USDを超えるケースも多い。
○転職事例:人事マネージャー(現地人)/小売業/30~40歳/約387,769百~415,447百VND(年収)
香港
香港を足掛かりに中国本土・東南アジアへ進出を検討するアパレル業界からの求人が増加。
コンサルタント
高山 典久(たかやま のりひさ)
- 求職者側では、毎年1月に支給されるダブルペイ(1月から12月まで満一年在籍した従業員に支払われる固定給のボーナス)を控えているため、11月中旬より転職希望者総数は減少傾向。
- 求人企業側では、小売・アパレル・ファッション業界で求人が増加傾向。香港を足掛かりとした中国&アジアへの新規出店が継続。店舗管理職や会計財務等のバックオフィス、リーシングマネージャーなどの求人が増加。店舗販売スタッフでは人手不足に悩む企業も多く、人件費が上昇し続けている。
- また、日系企業が中国本土および東南アジア・インドへの進出を検討しているため、銀行や会計事務所などでアジア全土をカバーする日系企業担当者の採用が活発化。
○転職事例:リーシングマネージャー(現地人)/アパレル/35歳/約400,000HKD(年収)
インドネシア
日系企業の新規出店は一服。退職者が増えるシーズンに差し掛かりバックオフィス系で求人増。
コンサルタント
土肥 幸之助(どい こうのすけ)
- 日系企業の年間新規進出数は、昨年までの数年間と比べ約25%減と言われており、一時の「立ち上げメンバー採用」の盛り上がりは一段落した感があるが、退職者が増えるシーズンに差し掛かっていることもあり欠員補充のポジションは増加。決算期が近いこともあり、特に経理や人事を始めとしたバックオフィス系のポジションの比重が目立っている。
- 現地求職者動向も年末年始に向かい落ち着き気味だが、年明けは大学卒業シーズンのため、新卒学生の就業も活発化していく見込み。
- 日本人求職者は、従前より30代後半~50代の求職者がボリュームゾーンであり、20代を上回っている。他国在住者からの問い合わせが前年比で増加。
○転職事例:人事総務マネージャー(現地人)/製造業/30代前半/約152百万IDR(年収)
インド
日本人求人に変化。これまでの「若手未経験・英語人材」から即戦力採用ニーズへ
コンサルタント
新谷雄司(しんや ゆうじ)
- 日本人求人では、これまでの「若手未経験・英語人材」を求める傾向から、マネージャー職など即戦力へのニーズが急速に増加している。もともと潜在的にあったニーズだと思われるが、ここに来て即戦力人材の現地採用決定事例が出始めたことにより徐々に顕在化が進んでいる。
- 一方、現地人求人では「専門性+日本語」の案件が増加。日本語スピーカーは通訳業務目的での採用が主だが、入社後定着率に課題を持つ企業が多く、他の職種で採用し専門性を身に着けてもらい長期就業してもらう、幹部候補として育てる、など対策を講じる企業が増えつつあることに起因。
- 日本人求職者は引き続き20~30代前半の女性が多く、ピンポイントでインドを目指す方が多いのも特徴。
○転職事例:ゼネラルマネージャー(日本人)/印刷業/30代前半/約263万ルピー(年収)
タイ
IT関連業種からの求人が増加傾向。日本人現地採用の求人も引き続き多く、売り手市場!
コンサルタント
八源寺 誠(やげんじ まこと)
- IT企業からの求人が増加傾向。既存の企業に加え新規進出企業からの求人もあり、特にエンジニア職に関しては慢性的な人材不足となっている。また、製造業での新規進出数は堅調に推移しおり、まずは立ち上げの核となるバックオフィス職種で日本語人材を求めるケースが目立つ。
- 日本人現地採用に関しては、30代前後の即戦力の営業職の募集が多い。求人案件数も多く売り手市場となっていることから、スピード感ある採用活動が求められている。
- 現地人の求職者動向としては、12月の賞与支払いを機に積極的に動き出す求職者が多い。20代~30代の若手に加え、マネジメント層もよりよい条件を求め情報収集を行っている。
○転職事例:システムエンジニア(現地人)/BPO関連/40代前半/約1,400,000バーツ(年収)
参考:各国通貨レート
1現地通貨あたりの日本円※
中国元:19.15円
SGD:89.06円
VND:0.005円
HKD:15.33円
IDR:0.01円
ルピー:1.88円
タイ:3.61円
※2015年1月7日現在
RGF HR Agentについて
リクルートグループが展開する、アジアを中心とした人材紹介事業です。日系企業のアジア進出を人材採用面からサポートするべく、2006年に中国へ進出し、2009年にRGF(リクルート・グローバル・ファミリー)ブランドを立ち上げました。現在では11の国と地域、28の都市へ展開し、日系企業のみならず外資系・現地企業へのサービス提供を強化しています。今後、世界規模での人材流動化がより一層進んでいく中で、私たちは企業と個人のより良いマッチングを実現し、アジアNo.1のHRソリューション企業となることを目指します。
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