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中国・東南アジア・インドの求人・求職者動向レポート 2015年4~6月期

2015年07月30日
株式会社リクルートホールディングス

仕事
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株式会社リクルートホールディングス(本社:東京都千代田区 代表取締役社長 兼 CEO:峰岸 真澄)の100%子会社であり、アジアを中心に人材紹介事業を展開するRGF Hong Kong Limited(本社:香港 President:葛原 孝司)は、このたび、2015年4~6月期の中国・東南アジア・インドにおける日系企業を中心とした求人・求職者の動向をまとめました。

[参考:1現地通貨あたりの日本円(2015年7月14日時点)]
中国人民元 19.87円、香港ドル 15.91円、インドルピー 1.94円、インドネシアルピア 0.01円、シンガポールドル 90.89円、タイバーツ 3.62円、ベトナムドン 0.0056円

中華人民共和国(中国大陸)

日系製造業が求人数増加をけん引。経済成長鈍化を背景に中国人求職者の転職志向も変化

コンサルタント 中下 真(なかした まこと)日系企業求人数トレンド

コンサルタント
中下 真(なかした まこと)

  • 例年に比べ春節の時期が遅かったことなどから、春節休暇後の転職市場最盛期も1ヶ月ほど後ずれした。日系企業の求人数増加をけん引したのは製造業。日系自動車メーカーの新車販売台数が上向いており、関連企業の採用意欲を下支えしているようだ。
  • 今年に入って、日本人を対象とした求人数が減少傾向にある。経営の現地化進展に加え、円安を背景に、駐在者と日本人現地雇用者の給与差が、見かけ上縮小しているのも一因と考えられる。
  • 中国では日本人・中国人問わず、一般社員と管理職・スペシャリストの給与差が大きく、後者は売り手市場のため、日本と変わらない給与水準を想定した対応が必要になろう。
  • 経済成長鈍化を背景に、中国人求職者の志向も変化しつつある。転職がほぼ確実に給与アップに結び付いた高度成長期と異なり、給与減でも転職に踏み切る求職者が増えつつある。

○転職事例:研究開発職(現地人材)/日系・製造/30歳/約111,300中国人民元(年収)

中華人民共和国(香港)

中国大陸のビジネス環境整備に伴い日系企業に動き。日本の景気回復を受け帰国する若手日本人も

コンサルタント 高山 典久(たかやま のりひさ)日系企業求人数トレンド

コンサルタント
高山 典久(たかやま のりひさ)

  • 香港の経済環境は、年初から続く中国大陸からの観光客減少が不動産・金融業界などにも影響。銀行や大手小売り・サービス企業などが現場従業員のレイオフを実施する例も出ている。求人ニーズが即戦力人材にシフトし、若手層は以前ほど売り手市場ではなくなりつつある。
  • 日系企業の日本人需要は停滞気味。外食産業の積極的な進出は継続しているが、他の業界は現状維持の傾向。香港のオフィス賃貸費・人件費高騰や中国大陸のビジネス都市環境整備を背景に、多くの日系企業が深センへの機能移転を進めていることが一因か。一方、中国全体への投資は継続しており、統括機能を担う香港で経営企画・財務・法務などの採用需要は一定数存在。
  • 日本の景気回復・転職市場活性化に伴い、香港で数年程度経験を積んだ20歳代後半~30歳代の若手層が、日本での就職のため帰国する例が目立つ。

○転職事例:営業職責任者(現地人材)/日系・金融/45歳/約450,000香港ドル(年収)

インド共和国

管理職としての日本人需要は継続。インド労働市場に魅力を感じる若手~中堅層の日本人男性求職者増加

コンサルタント 新谷 雄司(しんや ゆうじ)日系企業求人数トレンド

コンサルタント
新谷 雄司(しんや ゆうじ)

  • 支店長候補や経理マネージャーなど管理職ポジションでの日本人需要は引き続き増加傾向。現地化を進めるなかでも、複数部門をマネジメントできる現地人材確保が難しいことに起因。
  • 現地人材求人では、引き続き日本語人材が増加傾向。通訳から営業・セールスエンジニア・アドミニストレーションなどに職種が拡大。日本人が対応していた業務を現地人材に移管していることが背景にあるようだ。
  • 日本人求職者は、これまでの若手女性比率が高い状況から、若手~中堅層の男性が増えつつある。英語圏でビジネス経験を積めること、転職・ビザ取得難易度も比較的低いことが背景とみられる。日印関係強化や、経済成長への期待も後押し材料か。
  • 地域別ではバンガロールの求人数が増加。製造業の採用活発化が、関連する部品メーカー、物流、IT業界にも波及している。

○転職事例:営業サポート(日本人材)/日系・製造/20歳代後半/約1,800,000インドルピー(年収)

インドネシア共和国

内需取り込みに向けた日本人採用ニーズが上昇。インドネシア外からの日本人求職者も増加

コンサルタント 土肥 幸之助(どい こうのすけ)日系企業求人数トレンド

コンサルタント
土肥 幸之助(どい こうのすけ)

  • 進出企業数は落ち着きを見せており、「立ち上げメンバー」の求人は減少傾向だが、進出済みの企業は積極的な採用活動を継続。加えて、ラマダン(断食月)後のレバラン(断食明け大祭)に伴う手当が支給された後に転職者が増加するのを見込み、欠員補充に動く企業が増加する時期でもある。
  • 日本人を対象とした求人は、徐々に件数が増加。駐在員を減らし、現地化を進めたいという日系企業のねらいがある。特に商社やメーカーの営業職、会計コンサルタントなどの求人が目立つ。内需取り込みに向けた販路拡大、日系企業・日本人向けサービス拡大などに起因するようだ。
  • 日本人求職者は引き続き30~50歳代の割合が多い。技術系職種よりも営業、カスタマーサービス経験者の求職者が増加。日本や他のアジア圏からインドネシアへの転職希望者も増えている。

○転職事例:経理マネージャー(現地人材)/日系・製造/30歳代前半/約188,500,000インドネシアルピア(年収)

シンガポール共和国

日本人求人数は回復傾向。駐在者の異動が増える4月を機に配偶者ビザを持つ日本人求職者に動き

コンサルタント 岡部 雅仁(おかべ まさひと)日系企業求人数トレンド

コンサルタント
岡部 雅仁(おかべ まさひと)

  • シンガポールの転職市場は、春節休暇後の最盛期を過ぎ、やや落ち着いた状況。業界別では、現地大手金融機関が長期プロジェクトとして大規模システム開発を行っており、IT業界はエンジニアの積極的な採用を継続している。空港拡張、湾岸開発、MRT(都市鉄道)延長などのインフラプロジェクトを背景に、建設業界の採用意欲も旺盛。一方、原油価格は持ち直したものの、石油・プラント業界の求人は依然鈍化傾向。
  • 日本人を対象とした求人数は回復傾向。昨年8月に実施された外国人の就労ビザに関する規制への対応に日系企業も慣れてきたようだ。日本人富裕層向けプライベートファンドやアジア向け日系投資ファンドの増加により、日本人専門職や、それをサポートする管理部門の求人が増えている。日本人求職者の数は横ばい傾向が続くものの、駐在者の異動が多い4月を機に、配偶者ビザを持つ求職者が徐々に活動を始めている。

○転職事例:シニアプロジェクトマネージャー(現地人材)/欧米・IT/45歳/約174,500シンガポールドル(年収)

タイ王国

「タイプラスワン」の動きを背景に製造業の現地人材需要増加。50歳代の日本人求職者も多い

コンサルタント 八源寺 誠(やげんじ まこと)日系企業求人数トレンド

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八源寺 誠(やげんじ まこと)

  • 日系企業では、新年度のプロジェクト開始や、「タイプラスワン」の動きを背景に、製造業の事業拡大に伴う現地人求人が目立つ。現地化推進に向け、現地人マネジメント経験者採用を進める企業が多い。サービス・IT関連企業のタイ進出も活発で、現地人ITエンジニアの募集も多い。
  • 日系企業の進出が多いタイでは、新卒の日本語専攻学生は売り手市場。多くの内定を獲得しており給与も高騰気味。
  • 日系企業の日本人採用では、新規進出企業の立ち上げメンバーや、進出済み企業の新事業立ち上げに伴う求人が目立つ。日系企業向けの営業職求人が多いが、タイ人との商談や社内公用語の観点から、ビジネスレベルの英語力もしくはタイ語力が必須。求人は製造業の技術者などに限られているものの、50歳代以上のシニア層で、定年・早期退職を機にした日本からの転職希望者も多い。

○転職事例:経理マネージャー(現地人材)/日系・物流/46歳/約1300,000タイバーツ(年収)

ベトナム社会主義共和国

ホーチミン周辺工業団地に進出する日系中小企業増加。「日本語+IT」現地人材の獲得競争は熾烈

コンサルタント 細田 裕子(ほそだ ゆうこ)日系企業求人数トレンド

コンサルタント
細田 裕子(ほそだ ゆうこ)

  • 日系企業の新たな動きとして、ホーチミン周辺の工業団地に進出する中小企業が増えている。進出済みの日系企業では、現地化推進のために、英語力・業務経験・マネジメント経験を兼ね備えた現地人材へのニーズが高い。一方、国の平均年齢の若さから、求めるレベルのマネジメント経験を持つ人材が少なく、獲得競争が激しい状況。IT企業が求める「日本語力+IT業務経験」を持つ人材は特に数が少なく、給与が1,000アメリカドルを超えるケースも多い。
  • 日本人を対象とした求人案件数は堅調に推移。日系企業向け営業活動の目的で、多国籍企業からのニーズも多い。現地法人の管理部門強化、駐在員事務所から現地法人へ切り替わる際に、経理経験者を求める動きも増えている。また、工場の増産・増設などに伴う経験者採用の案件が続いている。直近では、若手人材の営業職よりも、製造・IT技術者の転職事例増加が目立つ。労働ビザ取得が難しい状況に変わりはないが、日本からホーチミンへの転職成功例も多い。

○転職事例:技術職(日本人材)/日系・製造/50歳代/約873,936,000ベトナムドン(年収)

RGF HR Agent について

RGFロゴ

リクルートグループが展開する、アジアを中心とした人材紹介事業です。

日系企業の海外進出を人材採用面からサポートするべく、2006年に中国へ進出し、2009年にRGF(Recruit Global Family)ブランドを立ち上げました。現在、11ヶ国・地域、28都市に展開し、日系企業のみならず多国籍企業や現地企業へのサービス提供を強化しています。世界規模での人材流動化がより一層進むなかで、私たちは企業と個人のより良いマッチングを実現し、グローバルNo.1のHRソリューション企業となることを目指します。

URL:http://www.rgf-hragent.asia/

日系人材紹介会社最大の拠点網:11ヶ国・地域、28都市

日本、中国、香港、台湾、シンガポール、インド、ベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシア、タイ

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