リクルートワークス研究所 日本の働き方の定点観測「Works Index」第2回結果 ~人手不足・採用難で業務負荷増大。休暇取得やOJT機会も減少~
株式会社リクルートホールディングス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 兼 CEO:峰岸真澄)の、人と組織に関する研究機関・リクルートワークス研究所は、日本の働き方を追跡調査する「全国就業実態パネル調査」(第2回調査)を実施し、これに基づきまとめた、働き方に関する独自指標「Works Index(ワークスインデックス)」の結果を公開しました。
「全国就業実態パネル調査」で全国15歳以上・約5万人の就業実態を毎年調査し、その結果を「Works Index」として継続的に可視化、検証することで、一人ひとりが生き生きと働き続けられる社会の実現に貢献することを目指しています。
調査結果のポイント
働き方を可視化する独自指標「Works Index」による昨年との比較からわかったことは次の通りです。
(1)「働き方改革」への関心が高まるなかでも、人手不足・採用難で業務負荷増大 → 休暇取得やOJT機会も減少
- 仕事量や負荷の適切さ、処遇の公平性など、職場の健全性を測るインデックス(指標)「ディーセントワーク(健全性)」のスコアは、前年の58.5点から1.2ポイント低下し、57.3点
- 同インデックスを構成するインディケーター(小項目)のうち、「仕事量や負荷が適切である」のスコアが低下したのが主な要因。「働き方改革」への関心が高まるなかでも、人手不足や採用難が続く中で、業務負荷が増大している
- 残業時間の短かさや休暇の取得しやすさなどを測るインデックス「ワークライフバランス(継続性)」内のインディケーター「休暇が取得できている」や、「学習・訓練(発展性)」インデックス内のインディケーター「OJTの機会がある」のスコアも低下。業務負荷増大により休暇取得やOJTの機会が減少している
(2) 特に中小企業で「ワークライフバランス」が悪化
- 「ワークライフバランス(継続性)」インデックス内のインディケーター「残業時間がない、短い」のスコア差(昨年比)を見ると、従業員規模1,000人未満の中小企業はマイナスとなり、残業が増えている。従業員規模1,000人以上の大企業はプラスとなり、残業が減っている
- 同インディケーター「休暇が取得できている」のスコア差(昨年比)を見ると、全ての従業員規模の企業でマイナスとなっており、休暇取得が難しくなっている
- 業務負荷が増大するなかで、大企業では休暇取得がしづらいものの残業時間を減らす方向で生産性を高めて対応している可能性がある。一方、中小企業では、業務負荷増大を残業増加や休日出勤などで対応している可能性がある
(3) 所得:継続就業者は増加しているが、中途入社者は継続就業者より大幅に低い
- 労働平均所得について、調査対象全員(無業者含む)で見ると1.6%減少しているが、同一企業の継続就業者(無業者を除く)で見ると2.0%増加の352.0万円
- 2016年の新規入職者(新卒者含む新規就業者、転職者)は、継続就業者よりも大幅に低い187.5万円。新卒にあたる24歳以下のみならず、それ以上の年齢でも、新規入職者の労働所得は継続就業者と比べて低い傾向
- 所得が増加しているのは継続就業者が中心であり、中途入社者の処遇の低さが課題と言える
Works Indexについて
Works Indexは、日本における働き方を可視化するための指標です。「全国就業実態パネル調査」開始にあたって、リクルートワークス研究所が独自に開発しました。
個人が生き生きと働き続けられるために必要と考える5つのインデックスによって構成されています。それぞれのインデックスにはインディケーターと呼ぶ構成要素が含まれます。インディケーターに関連するパネル調査(追跡調査)の結果から、それぞれのインデックスの値を算出し、0~100点の間の値で示します。100点は、理想的な状態であることを示します。
「全国就業実態パネル調査」では、このWorks Indexを主な指標として、就業の実態を経年で測り、比較することで働き方の課題を検証します。
Works Indexを構成するインデックスとインディケーター
注)各インデックスは、それぞれのインディケーターに関連する調査結果よりスコアを算出
調査概要
全国就業実態パネル調査(JPSED:Japanese Panel Study of Employment Dynamics)について
- 調査目的
調査前年1年間の個人の就業状態、所得、仕事の状況などを、毎年追跡して調査を行い、Works Index を作成・公表するとともに、日本における就業状態の変化、所得の変化を把握する - 調査対象
全国15歳以上の男女 - 調査時期
毎年1月 - 調査手法
インターネットモニター調査。調査会社保有の調査モニターに対して調査を依頼。2016年実施第1回調査で回答の得られたサンプルに対し、今後毎年1月に調査を依頼する。また有効回答数を確保するために、回答が得られない属性に近いサンプルを同時に調査を依頼した - 標本設計
総務省統計局「労働力調査」のデータをもとに、性別、年齢階層別、就業形態別、地域ブロック別、学歴別の割付を行った。割付は、母集団を反映するように設定。ただし、10代の労働力人口と65歳以上については、実際の人数よりも少なく割付 - 集計方法
10代の非労働力人口と65歳以上については、実際の人数よりも少なく割付をして回収しているため、母集団を反映する結果となるようにウエイトバック集計を実施している。本報告書では、ウエイトバック集計後で、社会人として働いた経験のない学生を除いた結果を掲載(集計対象者数はウエイトバック前)
全国就業実態パネル調査(第2回調査)について
- 調査時期
2017年1月13日~1月31日 - 有効回収数
48,763名 ※うち、第1回調査からの継続回答者は34,796名、新規回答者は13,967名
調査結果詳細(レポート)は下記URLより参照ください
http://www.works-i.com/pdf/170609_worksindex2016.pdf