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リクルートワークス研究所 提言書 「提案 女性リーダーをめぐる日本企業の宿題」

2013年11月27日
株式会社リクルートホールディングス

仕事
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株式会社リクルートホールディングス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 兼 CEO:峰岸真澄)の、人と組織に関する研究機関・リクルートワークス研究所(http://www.works-i.com/)は、提言書「提案 女性リーダーをめぐる日本企業の宿題」を発表しました。

本提言書は、真剣に女性リーダーを育成したいと考える日本企業に対して、具体的にどのような施策を実施すればそれが実現できるのかを示し、組織的な取り組みを開始することを提案するものです。

指導的地位における女性比率を2020年までに少なくとも30%に引き上げるという日本政府による目標のもと、社会のあらゆる場面で働く女性の活躍を推進する取り組みが活発になされています。安倍政権が、全上場企業に女性役員を少なくとも1人は登用するよう求めるなどと、民間企業に対して女性リーダーを増やす取り組みを期待する声もより大きくなっています。一方で、2013年10月に世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ指数で日本は世界105位と、世界から大きく後れを取っています。また、従業員規模100人以上の企業の管理職に占める女性の比率は2012年時点で6.9%に過ぎず、女性人材の登用はなかなか進んでいません。

今回発表する「提案 女性リーダーをめぐる日本企業の宿題」では、女性リーダーの育成を阻む一番の原因を明らかにするとともに、日本社会の「暗黙の前提」を明確に変更するための処方を盛り込んでいます。

人口減少社会において、また、グローバル競争の時代において、日本における女性リーダーの育成を促進し、ダイバーシティ経営を進めることで日本企業の競争力強化と国力向上に繋げていくことを指向しています。

【提案 女性リーダーをめぐる日本企業の宿題】:16の提言内容

提言1 入社式で、将来のリーダーへの期待を表明する。
提言2 入社5年、3部署の原則。
提言3 27歳で、リーダー職に。
提言4 リーダー職級からは、プロジェクトリーダーで経験値を増やす。
提言5 長期をみすえたキャリア研修の実施。
提言6 「2年1単位」で経験をモジュール化。
提言7 標準5モジュールで管理職へ。
提言8 育休MBAの奨励。
提言9 時間と場所に縛られない働き方を。
提言10 次世代リーダー候補は個別人事管理で鍛え上げる。
提言11 優秀人材に渡す「期限つき再就職オプション」。
提言12 リーダーシップを大学の必修科目に。
提言13 育休は1年でいい。
提言14 家事・保育サービスに産業革命を。
提言15 ホワイトカラーの労働時間を2000時間に。
提言16 共働きを前提とした社会への脱皮。

提言の要旨

鍵は「スピード感」と「短いサイクルでのステップアップ」
~入社からの5年を有効活用し、27歳でリーダー職級に~(提言2、3、4)

女性のライフイベントを見越したうえで、成長を加速化させる必要がある。具体的には、仕事以外の要素の制約が少ない入社直後に飛躍的な成長をさせるよう、早めにジョブローテーションを行い、経験の幅を広げ、実績の高い人から順にリーダー職級に昇格させ、リーダーシップを獲得する訓練を開始する。

30代に訪れる「キャリアの停滞期」にも、歩みを止めないサポートと人事評価制度
~「2年を1単位」としたモジュール型管理。5モジュールで管理職へ~(提言6、7)

多くの女性が結婚・妊娠出産・育児といったライフイベントを迎える30代は、企業内で中堅として活躍すべき時期とほぼ重なる。この混迷期に仕事を通して成長することに集中できない女性は、後に能力不足・経験不足・覚悟不足と評され、管理職登用の選抜からもれ落ちてしまう。経験や実績をゼロリセットしない人事管理とスピードが必要。具体的には、約2年を一つの仕事の区切りとし、1モジュールとして管理する。2年×5モジュール=10年で管理職に登用する。

育児休暇期間は基本1年間。解消すべきは復職時のハードル
~離職期間も学習機会に。「期限つき再就職オプション」の検討も~(提言8、11、13)

育児休業中に実施する学習を、仕事経験を補完するものとして推奨する。MBAをはじめ、会計・ファイナンス・法務・マーケティング・リーダーシップ等の講座の受講ニーズも十分にあると考える。大学は短期で習得できるプロフェッショナル向けの講座の開発や、単科や科目群だけの柔軟な履修が可能なカリキュラム開発が必要。また、配隅者の転勤等のやむを得ない事情で離職を余儀なくされる能力が高い人材には、「再就職オプション」を提供する手段も考えられる。

「フルタイム労働」≠「オーバータイム労働」。時間を最大限に有効活用する働き方の整備
~ホワイトカラーの労働時間を2000時間に~(提言9、15)

長時間労働を前提とした考え方から脱却し、「フルタイム=1日8時間の勤務」で仕事を完結させ、成果を出すことを、社員に対してもっと要求していくべきである。また、在宅勤務の活用や「コアタイムなしのフルフレックス勤務」など、柔軟な働き方を実現する環境整備とそれを活用する社員の生産性の向上努力が必要。育児期間中だからといって担当職務の難易度を下げるのではなく、重要な仕事を引き続き担当できるように支援することが求められる。

【効果試算】2020年の女性管理職比率予測

16の提言に挙げた一連の施策を実施すれば、15年後には男女の管理職昇進比率は同率になります。それを前提にリクルートワークス研究所が試算したところ、2020年の女性管理職比率は16.4%、2029年では33.6 %となりました。

遠い道のりですが、いまこの時点で企業が変わることを決意し、国と教育機関がサポートをスタートさせれば、個人もまた変わり始めます。そのことによって、男性も女性も仕事を通じて輝き続ける時代を形づくることができると信じています。

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