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編集著作権に関する訴訟の見解と今後の対応について

2005年04月07日
株式会社リクルート

その他
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当社は、2005年3月29日に下された編集著作権侵害にかかる東京高裁判決について、判決内容および今後の対応を検討して参りましたが、下記の通り決定いたしました。

■控訴の概要

控訴日
2004年4月12日
控訴人(一審原告)
株式会社リクルート
被控訴人(一審被告)
株式会社プロトコーポレーション
裁判所
東京高等裁判所
控訴の趣旨
東京地裁における判決は、努力と創意工夫の結晶である「アイコン表」や情報の配列体系といった情報誌における重要な財産についての著作物性及び侵害をともに否定しており、当社としては到底承服できないものです。このため、控訴いたしました。

■経緯

■当社の主張

 当社は昭和35年に創業以来、情報誌の発行を主たる事業としてきました。価値ある情報誌作りのために、様々な調査を行い、分析結果をもとに仮説を立て、テスト誌面を作って検証し、改良を重ねてきました。その結果として到達した分類・配列の仕方や紹介の仕方は、当社の努力と創意工夫の結晶であると認識しております。
そのような認識のもと、我々が今回の裁判で訴えた主張のひとつに、「アイコン表の類似性」という問題があります。スクールや講座を紹介するための数100種を超えるアイコンを取捨選択して配列した中で、実に80%が『ヴィー・スクール』に模倣されている、と主張してきました。

■東京高裁判決についての見解と今後の対応

当社は、今回の東京高等裁判所の判決を検討してまいりましたが、いくつかの点で承服し得ないものであると考えております。
当社が考える判決の問題点は以下のとおりです。

第一に、当社が裁判の中で追求してまいりました、以下の重要な点について踏み込んだ判断がなされていない点です。
(ア)編集著作物(特に情報誌)の成立要件、特に表現とアイデアの区別
(イ)編集著作物に関する翻案の意義(どこまで真似が許されるか)
(ウ)改変的模倣(デッドコピーではない模倣)の場合の不法行為の成立要件

第二に、当社が強く主張してまいりました、アイコン表作成にいたる創意工夫、ひいてはその著作物性すら認められなかった点です。

しかしながら、今回の判決が有するこれらの問題点により、今回の東京高等裁判所の判決における現行著作権法の解釈の下において、情報誌の編集体系の保護は極めて困難であることが、結果的に浮き彫りになったものと認識しております。当社といたしましては、そのような現行法の解釈のあり方は遺憾ではありますが、これ以上法廷での審理を受ける意義が見出せなくなりましたので、最高裁判所への上告は行わないことを決定いたしました。
今後につきましては、当社の強みである、顧客接点、カスタマー接点をベースとしたオリジナリティを発揮した商品開発・強化に注力いたしますとともに、競合等によるいわゆる模倣行為に対しては引き続き厳しい姿勢で対処していく所存です。